キャリアデザイン学会とは
|
|
日本キャリアデザイン学会では、およそ一千名を越える「キャリア・プロフェッショナル」が研究者や実務家の個人会員また団体や個人の賛助会員として参加されています。学会設立時はすべての人の職業および、それを越えた生活の諸活動・ステージの有意味な連続という、キャリアという言葉すら珍しがられたにも関わらず、現在では学校ではキャリア教育が当たり前の言葉として用いられ、大学では狭義の就職活動支援を越えて初年度から学生のキャリア形成を応援するキャリアセンターあるいはキャリアデザインセンターが普及し、正課にもキャリアデザイン論がどんどん取り入れられています。企業においても新入社員・中堅社員・ベテランのそれぞれのライフステージや、また女性や多様な雇用形態の人々を含んでキャリアデザイン研修が行われ、「自律的なキャリア」への関心が高まってきたことはたいへん嬉しいことだと思っています。しかし、背景には学生の就職難や中高年層、非正社員から正社員までの雇用への不安、将来のキャリアへの戸惑い、人生設計の困難などがあり、さらにその背後には経済、雇用、教育、コミュニティの危機があるとすれば、喜んでばかりはいられません。
何もかもが急激に変わっていく、この時代の困難だけでなく、可能性をもしっかりと見据え、変化に翻弄されず自分のキャリアをデザイン・リデザインし続ける人びとに関わろうとする学会の重要性は大きいと思います。
本学会は、いわゆる研究者だけではなく、キャリアに関わる様々な実務家が多く参加しています。幼稚園から大学までの教員や職員、高校の進路指導教員から専門学校や大学の就職指導担当者、企業内のキャリアカウンセラーや人事教育担当者、経済団体の産業人材育成活動担当者、労働組合による職業教育担当者、キャリアビジネスのエクスパートや職業紹介機関のアドバイザー、NPOのオーガーナイザーから主婦の再就職や定年退職者によるまちづくりを支援している行政機関職員など・・・これほど多様な人びとがまわりの人びとのキャリアデザインを考え、その支援活動をされているとは驚くばかりです。
とはいえキャリアデザインが現代人の自律営為にならねばならぬとすれば、キャリア・プロフェッショナルだけでなく、なによりも自ら自身のキャリアデザインを真剣に考えようとする多様な市民の人びとが、研究者や支援者との出会い・相互啓発の場として、学会を利用していただかねばなりません。したがって「研究のための研究」ではなく、とはいえきちんとした実証に裏付けられぬ訓話・説教にキャリアデザイン論議を堕落することなく、両極を廃してキャリアデザインの運動のセンターになるよう心がけていきたいと思っています。
人生設計に密接に関わる以上、教育学、心理学、経営学、社会学、文学、医学・・・・多様な学問の交流からキャリアデザイン学は生まれてくるものだと考えています。学会員も多様なバックグラウンドを持っています。学際研究に求心力をもたせるのも、キャリアデザインとその支援の実践事例にもとずいて意見を戦わせる機会が増えることだと考えており、年間を通して様々な研究会を組織しておりますし、キャリアの多様化に則し多様なキャリアの現実を明らかにする学会大会・研究誌の充実も会員とともに進めます。既に出版したキャリア研究基本文献解題に引き続き、キャリアデザイン(研究)ハンドブック(仮称)の出版も目指して行きたいと思います。 2010年11月1日 |